高畠のギルマス記

ギルドハウス高畠、ギルドマスターのブログです。

新規就農と移住を考える1-1

新規就農と移住を考える1-1

 

 地域への移住や就農をより本気で考えるべく、新庄市にある農林大学校で新規就農者向けの研修に参加させていただきました。1泊2日の5回講座で今回は第1回目の1日目の講座について書いてます。後4回あるのでシリーズものとして山形での農業を始める事について考えていきます。今回は5月9日の研修の内容から触れていきます。 

5月9日(木) 研修内容

①JAグループの新規就農者向け支援研修

(講師:山形農業協同組合中央会 地域担い手サポートセンター)

農業共済制度と収入保険について

(講師:農業共済組合

③日本政策金融公庫の紹介と事例から学ぶ農業経営の始め方

(講師:日本政策金融公庫)

一つずつ内容について記載していきます。

f:id:masterhato:20190514143646j:image
f:id:masterhato:20190514143642j:image

新庄市にある農林大学校にて研修受けました。

 

 

①JAグループの新規就農者向け支援事業について

トピックス

 日本の就農者の高齢化率は年々上昇中で、H27年度時点では

全国平均:平均年齢66.4歳、高齢化率(65歳以上の割合)63.8%

山形平均:平均年齢65.8歳、高齢化率(65歳以上の割合)は59.8%

 山形は全国的にみるとまだ若い方の様です。

 

JAグループの役割と活動について要点をまとめると

・JAは1口3000円で加入可能(ローカルルールある場合も)

・全国どこのエリアも網羅しているので農業始める前にまずは訪ねてみるとよい

・主に関わるであろう分野は農薬、肥料の共同購入、農作物の販路、営農指導、機械購入レンタル等

・繁忙期の人手不足の求人支援を行っている

・事業立ち上げに際してのお金の有志を行っている

・人、家、車の保険、農業者の労災加入手続きも行っている

といった部分の役割を担っています。

 

 実際に農業すると考えたときJAとのつながりを考えると、これからの営農計画の相談から始まり、農業資材の購入、農作物の販路確保、農業するにあたっての保険、労働力の確保。といった分野について役立つ事が多いのではないでしょうか。地域の農業には風土や文化、暗黙のルール等もあるそうでそれをつかむためにも、まずは訪れて相談すべき場所の一つであると改めて感じました。

 

農業共済制度と収入保険について

 農業共済制度(NOSAI)とは国の政策として行っている政策保険。

 恒久的な災害対策として、農業保険法に基づく制度で、農業者の相互扶助の共催制度として共済掛金を出し合って賄っている。 基本的に短期共済で1年間ごとに更新していく制度となっている。

農作物共済、家畜共済、果樹共済、畑作物共済、園芸施設共済、農機具共済、建物共済

上記の様に個別の共済対象があり、分野ごとに保険をかけていきます。分野ごとに40~55%程度の掛金を国が負担しています。

平成30年度から収入保険という農業計画から収入が天災や事故等で減った際に補填される保険制度も実施している。農業共済については分野や規模、どんな農機具、資材を使うかで異なっていくので実際に就農を決めた後品目や経営規模に応じて相談していけばよいのではないでしょうか。民間での保険もあるようですが、規模や母体から考えてもまず候補にあがると思います。

③ 農業経営の始め方 日本政策金融公庫

 日本政策金融公庫は国が100%出資する団体であり、便宜上株式会社という体を取っている。日本経済社会の健全な発展及びに国民生活の向上に寄与することを目的としており、国民生活事業、農林水産事業、中小企業事業の3つの部門に分かれて貸し付けや指導を行ってるそうです。

 最大3700万円の新規就農者向けの無利子貸し付け、経営改善のため最大1億5000万円の低利子の貸し付けも行っているので、新規就農の際に資金調達の必要がある場合の相談に行くとよいのではないでしょうか。

事例から学ぶ農業経営の始め方

パターン1 露地野菜(ネギ、小松菜)を始めたAさん

・Aさんは、勤めていた会社での業務を通じて農業資材や肥料の業者と交流があり、農家の実家を持つ奥さんとの結婚を機により農業へ興味をもつ、その後元同僚の奨めから露地野菜の栽培を始める。

→最終的に成功を収めるが、その要因として「就農の動機」、「就農の準備」、「立ち上がり」にしっかりとしたバックグラウンドがあります。

 

パターン2 施設野菜(いちご)を始めたBさん

・前例とは対照的に今行っている住宅販売仕事に興味が持てないため、テレビでやっていた観光農園(いちご狩り)を見てのんびりとやっていける印象を受け就農を決意。

→最終的には親族から2300万円かりて事業を始めるが、病気が発生し、生産量が伸びず、経営が思い通りにならず今後どうするべきか悩んでいる。

 

県内の就農事例から見られる不振原因

・十分な研修を受けていない(技術、経営管理

・師匠となる農家がいない

・農地条件が悪い(水がない、荒れた樹園地、未成園が多い、農地が分散等)

・農地と住居が離れている

・自己資金がほとんどない

・就農前から大きな負債を抱えている

・家族内の合意形成ができていない

・労働力と作業量の不適正(農地が広すぎる、パートナーがあつまらない、作業効率が悪い等)

 

コラム 日本政策金融公庫で融資する農家の規模と所得(平均)

水稲 作付け面積15.5haで所得830万円

露地野菜 作付け面積4.1haで所得1150万円

果樹 作付け面積2.4haで所得550万円 

 

 当たり前の事かもしれませんが、これまでの自分の経験経歴、これからの人生設計、農業にかける思い、投資の規模等を事前に総合的にイメージする事が大事との事でした。貸し付けに当たって経営相談や指導も行っているので、こちらも相談窓口として活用するのがよいかと思います。 

 

 終了後研修を受けた新規就農者同士の情報交換会がありました。話を聞いてみると農家は小さいころからの憧れや、農家はかっこいい、実家の農業を終わらせるのはもったいない、日本一の農家になる等の意見飛び交っており、ポジティブに取り組んでいこうとしている方が多いのが印象的でした。(実は少し予想外でした。)県外から来た方やサラリーマンからの転職の方も多く山形で農業を生業とすること自体に魅力があるのだなと感じてきました。高畠から来た方もおり、有意義な交流会でした。

 

 今回の研修は1日目の1回目で、実際に就農に向けた具体的な話ではなく、農業関係の組織の紹介や農業支援制度についてのお話が中心でした。今後シリーズを通じて何かしらの提案ができるくらいまで考えをまとめていきたいと思います。

  地域振興を考えたとき様々な方向性で取り組むべきことはあると思いますが、私自身が高畠に来て一番こんな動きがあったらいいなと思うのは、地域で活躍する新しいプレイヤーが次々と新しい挑戦を始めていくような環境になっていけばいいなと思っています。それは農業に限らずかもしれませんが、地域に来て目の前に広がる景色を見たとき一番最初に思いつくのはやはり農業とも思います。

2日目の内容はまた近日中に書いてみますので、興味があればまた見てください。

 

ではでは。