高畠のギルマス記

ギルドハウス高畠、ギルドマスターのブログです。

ギルマス記 2022年春、夏、秋

ギルマス記 2022年春、夏、秋

 なんとなく危惧していた通りギルマス記の更新頻度はめっきり下がって年末のこの時期にさすがに記しておかねばと、ある種生存本能のような気分で書いている。ただ書き始めると案外楽しいもので、そんな心地よさでなるべく心向くまま生きて死んでいければいいとそんな風には思う。

 個人的にはギルドハウス高畠で出来そうな楽しい事は一通りやりつくしてしまったような気分ではいて、逆にふらっと訪れる冒険者の好奇心や興味に刺激を受けながらまた新しい可能性を探究している。ギルドハウス高畠は2018年の7月頃からスタートしているので5年目という事になる、何しているのと問われたらギルマスや冒険者などが引き続き暮らしているという答えになるだろう。あれこれその先の事も考えるけれど、そのあたりも含め書いてみる。

 

ライフハック限界費用0社会

 書いてみたら5年間のちょっとした総括のような内容になったが、個人的にも言語化してしっくりきたので記してみる。

 2016年~18年あたりでギルドハウス十日町を何度か訪ねて、ピンと来てこのギルドハウス高畠を始めたわけだけれど、一番表層的でインパクトのあるポイントというのは、まずは田舎のほぼ無料に等しい住居、シェアハウスでの生活費を限界まで抑える工夫、働くという概念から脱却できてしまうようなライフハック感だったように思う。

 また最新テクノロジーの発展により限界費用0の社会、つまり個人でも大したコストをかけずにデジタル世界に繋がり創作し、場所を選ばず楽しく繋がったり仕事したりしながら生きていけるのではないかという新しいライフスタイルの模索という部分もとても大きい。

 この二つが合わさる事によって既存の社会に生きづらさを感じる人の新しい受け皿と可能性を解き放つことになり、更なる新しい展開が生まれるのではないかというところに限りない可能性を感じていたように思う。5年間の取り組みを振り返ってこれらがどうなっているか考えてみる。

 

ライフハックの限界ライフハックには明らかに限界がある、結局のところ生きる上である程度のお金がかかるし、不便な暮らしに耐性があったとしても、何にもないと逆にあれこれ欲もでてくる。快適な住環境を整備するには余剰の資本が必要になるし、快適な住環境でなければ長く住み続けにくい、突き詰めると発展的な展開には結局のところ住居に投資して運用するという発想が必要になってきてしまう。ただこれはあくまで”一般的な”話でありそれでいいじゃんと住み続けている住人も確かにいる。

 

限界費用0社会の創作:何か作るには一次情報の質や量がとても大事である、また一定のテクニックやコミュニティも重要である。つまり僻地の流動性の低いコミュニティに滞在し続けるという事には創作活動をするのにあまり向いていないかもしれないという所にぶち当たっている。また0円でアクセスできるデータやコミュニティというのはどんどん質が悪くなってきているしルールも確立されてきた。という事で自分の大事だと思う各分野で信頼できる人と出会うという事が大切なように思う。流動性が高すぎるとそれはそれで落ち着かないので、主として属するのは程よい流動性のあるコミュニティが重要そうだ。あとはお金が稼げるようになったらより快適なところに住むよねという前述の項目に繋がってくる。

 

コモディティ化:後続的な取り組みとして、山奥ニートさんなどはベースの発想は似た雰囲気を感じつつよりメッセージ性が強く打ち出ているように思う。またギルドハウスもそうだけれどお互い感化されて同様の取り組みに各地でチャレンジする人が増えたように思う。私も含め地域おこし協力隊の卒業生でその地に残る人は土地土地にランドマーク的なユニーク拠点を構える事も多いので、一つ一つが疎を繋ぐネットワークとして発展的な広がりを見せているとも感じている所だ。そして残っているところはちゃんと住んでいる人の想いや工夫が詰まっているものだ。

 

まとめ:「逃げ出した先に、楽園なんてありはしない」

 上記が今の心境で、特に何もしなくても生きていけるというような事はありはしなくて、一人一人理想を追い求めて出会いまくって暮らしを作っていくしかないんだなぁとしみじみ思っている所だ。十日町グランドマスターハルさんは所帯を持って子供も生まれて色々大変な事もあるだろうけれど、楽しそうに引き続きギルドハウス十日町での暮らしを続けられていて、たまに訪れるとやっぱりほっこりする。引き続き心地よい暮らしを作り続けるしかないという所に帰結するように思う。
 もう一方で楽園を作ろうなんて求めていないという場合は、結局のところやっぱりお金が稼げて、待遇が良くて、働き甲斐も感じられる、楽園的ないい仕事を戦い勝ち取るのが良いように思う。資本主義的な発想もまだまだ行きつくところまで行っているようには思えないし、お金やキャリアを追い求めるのは生存戦略としても、個々が自由を得て可能性を追い求めるにしてもやはり無難と感じる。ただ楽園への切符はおそらく全員分用意されているわけではないので、やっぱりみんな頑張って生きていこう。

 

逃げ出した先の楽園 | Young Age Vol.07

ガッツさんの名言 ベルセルクより

 

旗を上げ続ける

 という事でギルドハウス高畠でやっているようなことに自他ともに過度な期待を振りまく事はもうやめたのですが、少なくとも誰かの心のセーフティネットとしては機能していたいなぁと思う所です。

 「意志とか志をもって何かを成せ」と成功者や狂信者は言うかもしれないけれど、各々の意志ではどうしようもない事はたくさんある。ギルドに住んでても真夏の猛暑日、吹雪の夜、外になど出たくないし、もし出たら心身ともにダメージを受ける事はわかりきっている。社会にきちんと属しているとそういう”自然な出来事”と私の関係性についてはわからなくなる、というか鈍感にならなければ社会不適合者の烙印を押されかねない。実際一人一人が抱えている自然環境との関係性はもっと微細かもしれない、雨のにおいがするから外でたくないとかね。
 最近になってすごく寛容になったというか、老いたというか、そんな心地でいるのだけれど、人それぞれ色んな変われない部分を持っているわけで、「あなたが生きるためにどんな正義を振りかざすのもいいんじゃない」とそんな事は思っています。たとえその場しのぎで支離滅裂でもそれぞれ培ってきた物語に寄り添わないと心が死んでしまう人だっている気がしている。※他人を過度に害さない場合に限るが
 ただしそうは思っていますが、そんなに人の事を救ったりもできるほど素晴らしく元気のある人間でもないので、ともかく世の端っこの方には別の生き残り方してる人がいるよという場所として旗を掲げておくのもよいかという心地です。そういう所があるだけでも一度訪れてくれた人にとっては励みになるかもしれないですしね。

 

最近の冒険者たち

 ちょくちょくソロの冒険者が来訪してきたり、最近だと学生向けのクエストなどを発注しているので、学生の来訪が多い。ギルドハウスを拠点にして地域の農家さんや企業を巡ろうという取り組みだが、結構好評でリピーターも結構いる。逆に東京で集まったりもした。意外と女性の方も多くてそのあたりもちょっとした変化を感じる所だ。

 なんだかんだと若い気分でいるけれど学生さんだと10個近く下の年代だったりもするので、色々と価値観とか文化が違ったりする。でも一緒に集まる学生さん同士も全然趣味趣向や合う話が違ったりするので、年代のギャップのせいだけでもないかもなんて思ったりもする。色々刺激をもらっていると共に体力的精神的には老いも感じる。

 そんな中で立場とか年代とか超えて楽しめるコンテンツとして最近音楽に注目している、という事でDJやDTMといった事をかじり始めた。訪れてくれた人と言語とか文化とかを超えた部分でなんか盛り上がったり繋がったりとそんなのが理想なので、集まった人とその場限りのノリでいかにグルーヴを演出できるかゆるりと探究していきたい。あと一度訪れてくれた人たち同士が繋がっていけるようなフェスやりたいね。

 

カレー会

花火で遊ぶ

近所移動中

農業体験てきな

そんな感じで・・・

 今回書いたようにより深淵なテーマのところに私自身の意識が引きこもりがちですが、変わらずボチボチ楽しくやっています。施設自体をより快適に泊まったり滞在したりという整備やリニューアルする機会は相変わらず伺っています。
 冒険、滞在、居住の受付は随時行っていますので、最後まで読んでいただいた方で、もし何かピンと来た方がいればご一報ください。ではでは。

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