高畠のギルマス記

ギルドハウス高畠、ギルドマスターのブログです。

新規就農と移住を考える1-2

という訳で新規就農者研修1回目2日目の内容です。記載しているのは受けた内容についてのほぼ記録で、見づらいかと思いますが、最終的に5回出そろった時点でまとめ記事にする予定なので乞うご期待ください。

 

5月10日(金)9:00~14:40 研修内容

2-1 現地研修(最上産地研究所)

2-2 病害虫概論① (講師:酒田農業技術普及課 専門普及指導員)

2-3 専攻別講義 果樹(講師:佐藤 正行氏)

 

2-1実験圃場の見学(最上総合支庁 農業技術普及課 産地研究室)

 雪の多い山形での栽培方法の確立の試験や、新しく作られる品種の試験を実際に見学させてもらい、季節や流行で変化していく市場と消費者の需要に合わせて、農業技術は品種改良も含めて日進月歩だと感じました。下記は見せてもらった作物と研究内容。

 

ラズベリー さくらんぼ終わった時期からの手入れで栽培できるため副作物として研究

さくらんぼ(紅しゅうほう、紅てまり、佐藤錦)雪に強い仕立て方の研究 Y字仕立て。

ぶどう(やまぶどう)雪に強い仕立て方の研究 1本仕立て、端っこを下げる。

山菜(山ウド、うるい、ふき、タラの芽)山形は促成山菜の生産量が日本一

春から秋にかけて株を作り、冬ハウスで株分けした品種を栽培、年末から出荷していく。

ネギ→年々メーカーが改良する新品種の比較と検討

ニラ→年間通じて収穫するため、品種ごとの栽培時期の検討

アスパラガス→最大何年栽培できるか実験中、現在16年目でまだ収穫できている

イチゴ→夏期間でも取れる品種の研究

里芋→山形の芋煮需要のため促成栽培の研究、消費量のわりに山形の生産量は少ない

トマト→ハウスの上に滑車を設置して収穫しやすい改良の研究

  

2-2病害虫概論①

まず大前提として、人間も植物も常に病気の脅威にさらされている。農地は自然ではない。同じ植物(作物)がまとまって生えている田んぼや畑は、病原菌や外注の側からみると、探し回らなくても好ましい宿主やえさが大量に存在する場所に他ならない。

 

病害と飢饉について

1845年にアイルランドで起こったジャガイモ疫病の物語、100万人が飢餓で亡くなり150万人が移住して人口は4分の1になったとされる。日本でも昭和6年、9年には冷害といもち病の影響で弁当を持ってこられない児童が3万人に及んだといわれている。

しかし斑入りチューリップや虎斑竹、貴腐ワインという例を出して病原菌が植物に付加価値を付ける例も示しました

 

慣行農法と無農薬無防除栽培の比較

1990年から2006年まで全く防除を行わなかった場合と慣行農法で比較したデータがあり、米に関しては無農薬でも7割程度の収量が得られるが、とくにぶどうやりんごに関しては様々な病害虫被害があり収量が1割以下まで減るというデータがある。

植物の生物性病原の約80%は糸状菌(カビ)であるまた非生物性の病原として土壌状態、気象条件、農作業、産業または生活郊外、生物代謝産物等が挙げられる。

 

病気の3大要因 

主因 病原体(カビ、ウィルス等)

誘因 環境(高湿度等)

素因 作物(作物、感受体)

これらが重なると作物に病気が発生する

 

 農作物を作るというのは自然の流れに反して、人間の都合のよい作物を作っているという事を踏まえて防除や消毒を行っているという事は理解しなければならない。

ただし病害虫防除=農薬散布という訳ではなく、農薬などの科学的防除の他にも、圃場の全体の適切な管理、抵抗性品種等の品種選び、物理的な土壌の消毒や除草、といった多方面の病害虫対策を行う事で農薬の使用量を適切にすることができる。(総合防除)

植物の病原の80%はカビであり8~10%は細菌やファイトプラズマ、このほかに線虫や原虫や寄生性の高等植物がある。また病原の他にも害虫による被害もあり、昆虫やダニ等の被害がある。植生とともに病原や害虫の生態も様々であり、気候変動等でも大きく変わるので環境に依らず安定して作物を作るには幅広い知見が必要になる。

 

農薬VS無農薬という対比はよくされますが、作物を作るというのはそんなに単純ではなく日本の様に様々な環境が混在する環境では作る人の哲学や経験技術がより重要だと感じます。

 

2-3専攻分野別研修(果樹分野1)

 専門的な果樹の各部位の名称の説明から始まり、果樹の分類、歴史の説明、果樹の枝の伸び方、剪定、休眠、受粉等についての講義でした。

 

木を伸びるままにしておくと、強いところに偏って生えたり、あらぬ方向に延びて行ったりする、まんべんなく毎年成らせるようにするのが果樹栽培における技術となる。

 剪定は主に頂部優勢という頂芽がよく伸びる性質をうまく利用して行う。これは頂部から下の方に側芽の発育を抑える物質が移動してくるために起こる。そのため主幹を斜めや横にした時頂部優勢の法則は崩れる。ぶどうは枝の先端に実がなるため成らせる枝の先は切らない事。 

受粉について

花を咲かせた後、実をならせるためには受粉が必要な品種がある、同じ品種同士で受粉できる品種とそうでない品種があるため、同じ品種同士で受粉できない場合、相性のよい受粉樹が必要。まためしべの表面にゴミや傷がつくとうまく受粉できないため、防風対策が重要。

 

第一回目の研修をうけての感想

 今回の研修を受けて思った事は農家って考える事がめちゃくちゃたくさんあるなという事です。

自分はどこを拠点に、どんな暮らししていたいかから始まって。そこでどんなやり方で、どういう作物の組み合わせで栽培するか、今度はそれをうまく続けられるやり方を考えます。さらに販路はどこにするか、どんな出荷方法があるか、どれくらい経費が掛かったか、今後の消費者需要はどうなっていくか。考え出すときりがないですね。

しかし始めたばかりは勝手がわからず日々忙しいかもしれませんが、慣れてくればあらゆる変化やトラブルを想定して、繁忙期は休みが無いながらも自分の想定通りのペースで仕事が出来るように感じます。

ともすれば農家は究極のフリーランスなんじゃないかなとそんな風に感じた所でした。朝起きて太陽の下で目の前のリアルな作物を作り、夕方暗くなったら世界とつながるバーチャルなサービスを提供する。そんな暮らしが出来たならとても豊かな生活の様に思えます。

 

今回のシリーズは次回の新規就農者研修受講後なのでまた一か月後位に更新予定です。

取り留めのない情報ですが、誰かのお役に立てれば幸いです。

 

ではでは~